Home > Thought of Phase Archive
Thought of Phase Archive
ー石のみる夢ー
- 2008年5月 2日 19:08
- Thought of Phase
嘗て私が少年であった頃石になった夢をみた事がある。
その路傍の石もまどろみ、覚醒せぬ意識は夢をみていた。
「さらさらと、砂が動くように時が流れていく。
太陽が幾度も東から上がり、西へと沈む。
その煌めきと闇の間に、石は何回も、
自分が建築の一部になる夢を視ていた。
月と星に照らし出され、光りをうけ、水に映っては揺れて燿く、
美しい建築の一部になる夢を。」
この少年の時の夢は私の建築に対する考え方を一変させた。
それまで<建築>というものは、数字と図面と、
大工仕事で成り立っている現実的な世界だと思っていた。
建築や都市が記憶を持つ事はないのであろうか。
すでに見捨てられた街の、絶えて使われることのない廃屋。
その埃だらけの柱や階段もいまだ存在し、生き、夢み続けている。
「自分を創り出した人間達は、喧噪の余韻だけを残して
去っていってしまった。
しかし、それが何だというのだ。
この私の存在は、つきつめれば私だけのためにあったのだ。
創造主に打ち捨てられた今こそ、たとえ雨が屋根の色を奪い、
風が壁をさらって残骸に成り果てたとしても、
私は私を占有(しえたのだ)する事が出来たのだ。
創造された時の動機からも、目的や機能からも逸脱した今。
自らが存在の目的となったのだ。」
「動機からも、自由あれ」
と言ったのはたしかアナキストの大杉栄。
建築やインテリアの存在にもこれは言えそうだ。
クライアントの事業動機からも、
創り手のイメージや感情からも、逸脱すること。
建築があくまで建築そのものであることを主張し続けること。
- Comments (Close): 0
- TrackBacks: 0
Home > Thought of Phase Archive