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Thought of Phase Archive

ー石のみる夢ー

 嘗て私が少年であった頃石になった夢をみた事がある。

 その路傍の石もまどろみ、覚醒せぬ意識は夢をみていた。

 「さらさらと、砂が動くように時が流れていく。

 太陽が幾度も東から上がり、西へと沈む。

 その煌めきと闇の間に、石は何回も、

 自分が建築の一部になる夢を視ていた。

 月と星に照らし出され、光りをうけ、水に映っては揺れて燿く、

 美しい建築の一部になる夢を。」

 

 この少年の時の夢は私の建築に対する考え方を一変させた。

 それまで<建築>というものは、数字と図面と、

 大工仕事で成り立っている現実的な世界だと思っていた。

 建築や都市が記憶を持つ事はないのであろうか。

 すでに見捨てられた街の、絶えて使われることのない廃屋。

 その埃だらけの柱や階段もいまだ存在し、生き、夢み続けている。

 「自分を創り出した人間達は、喧噪の余韻だけを残して

 去っていってしまった。

 しかし、それが何だというのだ。

 この私の存在は、つきつめれば私だけのためにあったのだ。

 創造主に打ち捨てられた今こそ、たとえ雨が屋根の色を奪い、

 風が壁をさらって残骸に成り果てたとしても、

 私は私を占有(しえたのだ)する事が出来たのだ。

 創造された時の動機からも、目的や機能からも逸脱した今。

 自らが存在の目的となったのだ。」

 

 「動機からも、自由あれ」

 と言ったのはたしかアナキストの大杉栄。

 建築やインテリアの存在にもこれは言えそうだ。

 クライアントの事業動機からも、

 創り手のイメージや感情からも、逸脱すること。

 建築があくまで建築そのものであることを主張し続けること。





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